メヘンディに関する日本の書籍のレビューをまとめています。
日本で出版されているメヘンディの本はわずかですが、装丁や写真も美しく、内容もよくまとまっています。
ハート*フールのスズケーが紹介されている書籍もありますので、ぜひご覧ください。
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JAPANESE BOOKS
■Mehndi design book 天然染料ヘナで彩るボディアート
河合篤子(編集)、ハート*フール (一部監修)
単行本 : 128ページ、オールカラー
出版社 : マリア書房
発売日 : 2012/07/05
>> SHOP MEHNDI.JPで購入可能
ハート*フールが制作に携わらせていただいた、国内3冊目となるメヘンディの本。ただメヘンディについてを紹介していただけのこれまでの書籍とは異なり、国内で活躍するアーティストの作品を掲載するという新しい試みがこの本の注目度を高めています。大きく5章にわけられていて、各章のタイトルは以下の通り。「メヘンディの歴史」「簡単にできるメヘンディ」「メヘンディデザイン帖」「現代メヘンディ事情」「アーティストとデザイン」。メヘンディについての基礎知識や実践方法は、他2冊の和書に比べ、写真をふんだんに使用して視覚的にもわかりやすく・楽しめるようになっているため、初心者にもおすすめです。最後の章で掲載されているアーティストは13名。ハート*フールが過去にブログで紹介してきたアーティストさんを中心に、それぞれの描いたメヘンディやオリジナルグッズの写真が掲載されています。掲載されているメヘンディは、描き手によって全く違う雰囲気を醸し出していて、メヘンディがとても自由で美しいものだということが伝わってきます。また、掲載アーティストが描き下ろしたデザイン集も他にはないオリジナルのもので、とても興味深いです。「デザインブック」という名前にはなっていますが、あくまでもメインは掲載アーティストの作品紹介で、オリジナルのデザイン集が豊富に掲載されているわけではないので注意。
巻末に掲載されている「メヘンディに出会えるスポット(全国のSHOP紹介)」で掲載されているサロンなどの半分程が本編で紹介されているアーティストと重複していて、たくさんのスポットを紹介しているとは言えない点が、少し残念でした。表紙の写真やデザインパターンには、ハート*フールが描いたメヘンディを使用。インドやエスニックを主張しすぎない、優しくまろやかなデザインになっています。
メヘンディに興味がある人もそうでない人も、美しい模様やアートを愛でる本として楽しむことができ、メヘンディに興味がある人は基礎知識を学びつつ先輩アーティストさんから新しい刺激を受けることができる。そんな、様々な方に手にとって楽しんでいただくことの出来る本だと思います。
■Mehndi style book ヘナを楽しむスタイル提案
河合篤子(編集)
単行本 : 128ページ、オールカラー
出版社 : マリア書房
発売日 : 2012/12/07
>> SHOP MEHNDI.JPで購入可能
マリア書房発行の2冊目のメヘンディ書籍。今回もハート*フールが表紙写真の作品を描かせていただきました。ハート*フールは、表紙の他、巻頭のグラビアページでも作品写真を紹介していただいています。13名のアーティストを選りすぐって掲載した前作とは異なり、今回は色々な形でたくさんのアーティストやサロン・ショップなどが紹介されています。
主な内容は「グラビア」「メヘンディに挑戦!」「イベントでメヘンディ体験!」「メヘンディ×スタイル」「メヘンディを楽しむためのsalon&shop」「全国メヘンディアート展覧会」。メヘンディについて様々な視点からスポットを当てていることや、前回に比べ小さめの写真が多いこともあり、雑多な感じはしてしまうのですが、本のタイトルの通り、日本の中でメヘンディが色々なスタイルで楽しまれている様子を見ることができます。ただ、イベントの様子や、お店・サロンの雰囲気を伝えるために、肝心のメヘンディの写真が小さくなってしまっているのは残念なところです。
前作「Mehndi design book」がメヘンディを知らない人にも手にとって楽しんでもらえる本ならば、「Mehndi style book」は、メヘンディに興味がある人のために日本の中にメヘンディがとけ込んでいる様子の一端を紹介している本、と感じました。メヘンディ初心者さんはこの一冊だけでなく「Mehndi design book」とあわせて見るのがおすすめです。
■メヘンディ デザイン帖 Mehndi design collection
河合篤子(編集)
単行本 : 160ページ(カラー32ページ)、ビニールカバー
出版社 : マリア書房
発売日 : 2013/07/08
>> SHOP MEHNDI.JPで購入可能
マリア書房発行の3冊目のメヘンディ書籍。今回は本文用にハート*フールが描いた図案を表紙にも使用していただきました。今回は、合計15名のアーティストを掲載。それぞれのアーティストのグラビア写真とデザイン図案をメインに構成されています。グラビアと図案以外では「赤ちゃんの幸福を願うマタニティメヘンディ」「チョコレートでデザートを彩るchocolart」の特集も。マタニティメヘンディに関しては、ハート*フールの活動を取材していただきました。
これまでありそうでなかった、メヘンディのデザイン図案がまとめられた国内初の書籍で、掲載図案を参照しやすいように開きやすい綴じ製本、汚れにくいビニールカバー付きなど、装丁にもとことんこだわって作成されています。大きめの複雑な図案が多いことや、原画が極細のペンで描かれているせいかメヘンディのコーンでは再現しにくい図案がある(アーティストの普段の作品とは雰囲気が異なるものがある)など、気になる点も少しありますが、誌面いっぱいに掲載されている複数のアーティストの作品から、様々なインスピレーションを受けることができるような本になっています。
図案集という事で、「読む」ページは少なめですが、描き下ろし図案やカラーグラビアを含めた作品約500点をが収載されており、メヘンディを描くための図案の参考になるような本が欲しいと思っている方にはうってつけ。また、読者のアイデア次第で、メヘンディ以外のアートのための参考資料としても使えそうです。メヘンディをご自身で描いている方、エスニックなデザインが好きな方などは、1冊持っておくと重宝しそうな、オススメの書籍です。ロイヤリティフリーの素材集ではないため、この本や掲載図案をそのまま商用利用することはできないので、その点だけは注意が必要です。
■一週間のおしゃれ!Henna‐Tattoosはじめてのヘナタトゥー
Ulaya Gadalla (原著), Margot Ibrahim (原著), 手塚 千史 (翻訳)
単行本 : 47ページ、オールカラー
出版社 : 岳陽舎
発売日 : 2002/12
日本初のメヘンディに関する和書。ドイツ語書籍の和訳です。内容は「石器時代からのトレンド、ボディアート」「簡単にできるヘナタトゥー」「フリーハンド・タトゥー」の3パートに分けられており、メヘンディの歴史、意味、ペーストの作り方から描き方までの基本的なこと全てが、シンプルにわかりやすくまとめられています。写真も多く掲載されていますが、イメージ写真的なものが多く、ペーストの作り方の手順などを写真で確認することはできません。フルカラーではあるもののページ数は少なく、掲載内容も本当に基本的な事のみなので、すでにメヘンディを知っている人・自分で描いている人には物足りない内容かもしれません。デザインモチーフも掲載されていますが、ごくわずかなので、デザイン集を期待されている方にはお勧めできません。掲載されている写真やデザインは、インド方面のものだけでなくモロッコ方面のものも。
メヘンディをしっかり学ぶにも、デザインの参考にするにも少し中途半端な本ですが、メヘンディに関連する読み物として楽しむには良いと思います。メヘンディを知らない人・始めたばかりの人が読んでみるのにもちょうど良い本です。
■メヘンディ・アート
パティル・シーマ・長沢 (著)
単行本 : 95ページ、オールカラー
出版社 : 出帆新社
発売日 : 2005/07
和書としては国内2冊目になるメヘンディ関連書。「ヘナプロフィール」「各国のメヘンディアート」「メヘンディアートの描き方」「インドファッション」「デザイン」の5つの章に分けられて書かれています。全体的に写真中心の構成。メヘンディのやり方のページでも、写真を交えて説明がされていますが、掲載されている方法は基本的なもので目新しさはありません。インド人女性の著者が、メヘンディとヨガや精神世界などを結び付けて考えられているようで、デザインの意味についても説明されていますが、メヘンディの模様としてインドでは一般的ではないものまでも特に注釈もなく「メヘンディアートのデザイン」として紹介されています。デザイン集のページに掲載されているものは、洋書やインドで売られているデザイン集からの転載が多く、これは著作権的に問題はないのだろうか?と心配になってしまう程。また、写真が豊富に掲載されてされているものの、インドの一般女性が描いたようなクオリティの低いものが多く、正直「美しいメヘンディの写真」を期待するとがっかりしてしまいます。
掲載されている写真などはイマイチですが、メヘンディの基本についてはしっかりまとめられているので、メヘンディについて知りたい、これから始めたいという方には良いかと思います。