丈の長いチュニックのようなシャツ、ゆったりしたパンツ、ショールの3点セット。
これがインドやパキスタンの女性の民族衣装の基本です。
インドではサルワール・カミーズ、
パキスタンではシャルワール・カミーズと呼ばれています。
基本的には同じものです。
（※インドはヒンディー語、パキスタンはウルドゥー語。
言葉の違いから発音が少し違います）
日本では「パンジャビドレス」なんて呼ばれたりしていますね。
ハート＊フールのスズケーが、イベント出店の時などに着ているアレです。
既製品も売っていますが、
布を買ってテーラーに持ち込み、
自分の体のサイズに合わせて仕立ててもらうのがまだまだ一般的です。
パンジャビドレス（※アジアン雑貨ヘイヘイ屋より）
基本的には同じ民族衣装…なんですが、
細かいことを言うと、実はインドとパキスタン、
両国の庶民が着ている普段着は、ベーシックな仕立ての形が微妙に異なります。
何が違うか…それはズボン（サルワール）の形！
もちろん、インドもパキスタンも、
ズボンの形はいろんなデザインがあるわけですが、
ここでは両国の一番一般的なサルワールの形、についてお話しします。
説明をせずとも、写真を見れば違いは一目瞭然！なのですが。
インドとパキスタンのサルワールの比較（正面）
インドとパキスタンのサルワールの比較（横）
左の水色のパンツがパキスタンのシャルワール、
右のピンクのパンツがインドのサルワール。
いずれも「パティアラ」と呼ばれる、少し太めのデザインで作ってね、といって
仕立て屋に出したものです。
パティアラは、ウエストの下にある切り返しの部分で、ヒダをたっぷりとって、
ゆったりとしたラインを出す形のパンツなのですが…
同じ位置で写真を撮ってるはずなのに、スタイルが全く違うように見えます。
両国の仕立て方、そもそも布の裁ち方が全然違うよう。
パキスタンのシャルワールはズボンが真っすぐで、お尻のとこがモッコモコになっています。
見た目はまさにパジャマのズボン…！
切り替え下も布を斜めに使っていないので
パティアラのドレープも全く出ておらず、ゆったり感もなく、
切り替えが入っている意味がほとんどありません。
デザインをパティアラと指定をしない場合は、この切り替えが入っておらず、
ウエストから裾までずどーんとモコモコのパンツが出来上がってくることもあります。
そしてなによりパキスタンの仕立てで特徴的なのは、足首周りが細くすぼまっていること。
このシャルワールは仕立ての際に「足首は広めにして」とお願いしたのでわりと幅広になっていますが
通常だともっと細くつぼまって、モンペみたいな形になっていることが多いです。
それに対してインドのサルワール。断然スリムに見えます。
切り替えより上はウエスト周りをスッキリさせるために布の使用は控えめに、
下は布をたっぷり使用し、太めのヒダをしっかりとって、
布の斜めの断裁が入っているようで、横から見ると流れるようなドレープが綺麗に出ています。
特に指定しなくても、裾を細くつぼませられることがないので、モンペにもなりません。
インドの場合、デザインをパティアラにしなくても、太さが少し控えめになる以外は
大体この形・仕立てになって上がってきます。
もちろんパキスタンでも、ちょっといい仕立て屋さんでは
本当に綺麗なドレープたっぷりのパティアラを仕立ててくれるところもありますが、
「一般的なお店の仕立て」「現地の一般女性の多くが着ている一般的な形」は、
インドとパキスタンで、こんな違いがあります。
どっちが好き？と言われたら、断然インドの仕立て。
私は、インドで仕立てたものをパキスタンで着ることはあっても、
パキスタンのこの一般的なシャルワールをインドで着ることはありません。
インドでは農村部でもこのモンペのような裾窄まりのサルワールをはいている人はおらず、
形が違いすぎるので恥ずかしいのです…
パキスタンでも、女優さんやモデルさんは、インドの仕立てのような
ゆったりとドレープが美しいものを着ていることが多いです。
この民族衣装には、他にも色々な形のパンツのデザインがあり、
好みに応じて形を仕立てることができます。
両国とも、ちょっとお高めのブランドやショッピングモールで売っている商品は
すでに出来上がっている仕立て上がりのものも多いです。
細かなところではありますが、
インドとパキスタン、両方の国に行く機会のある方は、
民族衣装の形の違いを比べてみるのも面白いですよ！
ちなみに、アジアン雑貨ヘイヘイ屋では、
パキスタンのシャルワールカミーズも取り扱っていますが、
シャルワールの形がゆったりしているものや、違うデザインタイプのものなど、
インド人にみられても「あれ？」っと思われないような
形・デザインのものを選んで仕入れています！