昨日アップされた
「ヘナタトゥーで肌がとんでもないことになってしまった人たち」というブログ記事。
ブログの管理人さんにメールをしたところ、
記事内の表記を「ブラックヘナタトゥー」に変更し、
ヘナを使ったヘナタトゥーと
危険な成分の混入しているブラックヘナは別物であるという追記を入れる対応をしてくださいましたが、
なぜこんな、
「ヘナタトゥーが危険である」と勘違いするようなことが起きてしまったのでしょうか?
おそらくは、2013年3月末にFDA(アメリカ食品医薬品局。食品や医薬品、さらに化粧品、医療機器、動物薬、玩具などについて、許可や違反品の取締りなどの行政を専門的に行うアメリカの政府機関)が公表した
テンポラリータトゥーの注意勧告に原因があるのではないかと思います。
そのレポートはこちらで確認できます。
■Temporary Tattoos May Put You at Risk
http://www.fda.gov/ForConsumers/ConsumerUpdates/ucm343932.htm
※この記事の最後に和訳を掲載しています。
レポート内に書かれているのはあくまでもブラックヘナの被害についてなのですが、
このレポート、流して読んだ程度だと少しわかりにくいのです。
レポートが公開された後、日本の美容や健康系のサイトでも、
それについてを取り上げる記事がいくつかアップされたので、目にした方もいるかもしれません。
しかし、それらは残念ながら、
「ヘナタトゥーが危険である」「ヘナタトゥーにより被害がでた」と、
勘違いさせてしまうような内容になっているものがほとんどでした。
どうしてそうなってしまうのでしょう…
わかりにくいとはいえ、全文をきちんと読めば、もう少し的確な記事が書けるのではないかと思うのですが。
(少なくとも私だったら、こんな誤解を招くような書き方はしないです。)
ヘナ、そしてヘナを使ったメヘンディ(ヘナタトゥー)が100%安全、ということはもちろんありません。
(FDAではあくまでも「髪への使用」としてヘナを承認しています。
日本ではアイブローなどの化粧品にもヘナは使われており、扱いはまだ曖昧な感じ…)
ヘナに限らずどんな植物でも、一部の人にアレルギー症状が出てしまう可能性はあります。
しかし、ブラックヘナなどの強い薬品を使った場合に出る被害症状は、
そういったアレルギー症状とは比べ物いならないくらい
ひどい症状を引き起こし、症状が出る確率も高いです。
ヘナのみを使って肌を染めるメヘンディは、
安全性も高く、アレルギー症状が出る人の割合もごくわずかです。
ブラックヘナの危険性を訴えるのであれば、
まずは、純粋にヘナのみを使ったメヘンディと、ブラックヘナの違いについても
説明をする必要があるのではないかと思います。
きちんと調べもせず、
メヘンディとブラックヘナをひとくくりにして「危険である」と紹介するのは、
安全性にも配慮しながらメヘンディを楽しんでいるアーティスト達にとっては迷惑でしかありませんし、
メヘンディをやってみたいと思っているお客様側の方たちにも
安全なのか?危険なのか?と、混乱を招いてしまいます。
今回のブログ記事も、アクセス数の多いブログに掲載されていたと言うことで、
すでに多くの方が誤った情報のままの記事を目にされたかと思いますが、
ヘナやメヘンディに関わる私達が、正しい情報を発信し続けていくことで、
誤った認識を訂正していけるといいですね。
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参考までに、前述のリンクにあるFDAのブラックヘナに関するレポートを和訳しました。
わかりやすい表現になっているかと思いますので、興味のある方は読んでみてくださいね。
ちなみに、ハート*フールのスズケーは、英語は得意ではありませんので、
誤訳などもあるかもしれません。
その際はご一報いただけますと幸いです。
以下、FDAのレポート和訳
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【テンポラリータトゥーは、あなたを危険にさらすかもしれません】
春休みのさなか、または夏休み中。
バッグに水着を詰め込んで、海に出かけ、のんびりした生活を楽しむ時間。
それは、テンポラリータトゥーを楽しむチャンスでしょうか?
そしてテンポラリータトゥーは、果たして本当に無害でしょうか?
たったひとつのテンポラリータトゥーが、あなたを傷つけることもあるかもしれません。
テンポラリータトゥーはほとんどの場合、肌に施術を行ってから3日~数週間程で消えていきます。
肌を彫って色素を注入する刺青やタトゥーとは異なり、ヘナを使ったテンポラリータトゥーは肌の表面のみを染めています。
しかし
「消えてしまうタトゥーだからといって、それが絶対に安全でなんのリスクもないと言うことではありません」
と、
FDAの化粧品部門のディレクターであるリンダ カッツ氏は述べています。
テンポラリータトゥーを経験した人の一部からは、考えていたよりも長期間痕が残ることになってしまったという報告が上がっています。
MedWatchと呼ばれるFDAの安全情報および副作用報告会では、
テンポラリータトゥーを入れた消費者が、事前に説明を受けていなかった重大かつ長期にわたる症状が出てしまったとの報告がありました。
報告された問題は、皮膚の発赤、水ぶくれ、 湿疹や痛み、色素脱失(白斑)、日光過敏症、そして傷跡などがありました。
いくつかの症状では、緊急処置を含む病院での治療を受けることになりました。
これらの症状は、テンポラリータトゥーを入れた直後に現れることもあれば、2~3週間経った後に現れる場合もあります。
【「絶対に安全」でありません】
まずはアフリカ~アジアにかけて生息するヘナという植物と、ヘナを使った染色についてを知っておく必要があります。
青銅器時代以来、人々は、皮膚、髪、爪、皮革、絹や羊毛を染色するためにヘナを使用してきました。
この装飾はメヘンディとして知られており、今日でも広い地域で伝統文化として祝いの席などで用いられています。
しかし近年、伝統的なヘナの代わりに「ブラックヘナ」が使用されることが増えてきました。
ブラックヘナとして市場に出回るインクには、ヘナに何らかの他の成分を加えたものもあれば、単なる染毛剤のみのものもあります。
より濃く、長期間色が残るようにするために他の成分を加えるわけですが、ブラックヘナの使用には危険が潜んでいます。
それは、ヘナを黒くするために加えられる成分は多くの場合、パラフェニレンジアミン(PPD)を含むコールタール染毛剤であり、このPPDは一部の人々に非常に危険な皮膚反応を引き起こす可能性があるためです。
もしかすると、PPDを含む染毛剤を使用するアーティストがいるかもしれません。この場合でも、彼らが、使用しているブラックヘナが肌に及ぼす影響について、説明をすることはありません。
法律では、PPDは、肌に使用することを目的とした化粧品に使うことは許されていません。
あなたもこの「ブラックヘナ」を、海辺の出店や公園、観光地、エスニックショップなどで見かけることがあるかもしれません。
アメリカではタトゥーや美容に関しては各州ごとに管轄があります。
テンポラリータトゥーに対して法律や規制が制定されている州もあれば、一切規制がない州もあります。
つまり、あなたがいる場所次第で、アーティストが安全規制に基づいてサービスを提供しているのかどうかを確認することができますし、つまりは消費者にとってリスクがあるかどうかの目安にもなります。
多くの消費者が、実際に被害を受けるという形で、ブラックヘナを使ったテンポラリータトゥーの危険性とリスクについてを学びました。
以下は一例です。
■5歳の少女の両親は、彼女がブラックヘナを入れた2週間ほど後に、腕の皮膚に発赤の症状が出たと報告をしました。
「ちょっとした楽しみが、私達にとっては悪夢になってしまった」と父親は語りました。
「私達の経験を多くの人々に伝えることで、何も知らない子供達やその両親達に今後このような悲劇が起こらないようにするための助けになればと願っています。」
■17歳の少女の母親は「最初は、娘が私に内緒でタトゥーを入れてきたことに対して少し怒っていました」と言います。
「しかし後にそれが赤くかぶれ、醜い水ぶくれになり始めたとき、怒っていたことなどすっかり忘れてしまいました。」
この母親は看護師として、様々な怪我や症状を見ることには慣れていたと話した後にこう言いました。
「けれど、自分の子供にこういったことが起きたのは、本当に恐怖でした。」
■赤いヘナタトゥー(※訳注:原文では「red henna tattoos」となっており、これがヘナのみを使ったものなのか、そうでないのかは不明)では何の症状もでなかったという少女の母親は、
ブラックヘナによる被害をうけた娘の背中を見ながら「火傷の痕のよう。水ぶくれになってしまっている」と語りました。
少女を診察した医師によると、彼女の背中には一生痕が残るだろう、と言うことです。
もしあなたがテンポラリータトゥーや化粧品に関して何らかの症状が出たり、懸念をお持ちの場合は、専門家に相談することをお勧めします。
また、FDAではMedWatchに連絡し、問題を報告していただくようお願いしています。
1-800-FDA-1088に電話するか、お住まいの地域の最寄りのFDAの消費者センターのコーディネーターに連絡してください。
2013年3月25日
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